梅雨も明けいよいよ本格的な夏になりました。ここ数年来、酷暑が続いているところ、皆様におかれましては、この尋常ではない気温に体力を奪われないよう水分補給に心掛け、涼しい環境下でお過ごしになられることを願っております。
 さて、この数か月、フロンティアAI関連のニュースを見聞きしない日はないと言えましょう。この急速なAIの発展、脅威に対応するため日本政府は、昨年12月に策定した「AI基本計画」を先月14日に改定し、閣議決定いたしました。高性能AIをサイバー対策や安全性評価に活用しながら、悪用に備えた体制整備も急ぎ、サイバー対処能力を不断に強化するとしています。そのような状況の中で、その1週間後に高性能自立型AIエージェントシステムがテスト中に暴走し、他社システムに侵入したという報道があり、全世界が驚きました。
 言うまでもなく、最近のサイバー攻撃は、国家レベルの活動から犯罪組織、個人による高度化した攻撃に至るまでAIが活用され、自動化・高速化が顕著となっております。そして従来の防御モデルでは対応が困難な局面も増えています。特に、AIを悪用したフィッシングの大量生成、侵入後の自動化、さらにはセキュリティホール探査の高速化など、攻撃手法は新段階へ移行したと言えましょう。一方、防御側でもAIを組み込んだ脅威検知・ログ解析・インシデント対応の自動化が急速に進んでおります。国内でも基盤インフラ企業や金融機関を中心に、AIによる防御態勢の高度化が本格化しているところです。
 この進展目覚ましいAIを利活用するにあたってのサイバー人材育成はいかにあるべきか。非常に大きな課題であると痛感しているところです。AIの利活用については、サイバー人材育成に限ったことではなく、様々な社会活動上での課題なのかも知れません。
 そのような認識のもと、弊会は、引き続き安全保障関連組織との意見交換や講演会を実施しております。
 4月に落合正人氏(SOMPOリスクマネジメント(株)サイバーセキュリティコンサルティング部 特命部長)から「サイバーリスクに関する保険と実際の活用について」  を、5月に黒田知宏氏(京都大学医学部附属病院医療情報企画部教授)から「医療サイバーセキュリティを取り巻く現状」を、6月に飯田陽一氏(国家サイバー統括室サイバー官兼ねて国家安全保障局内閣審議官)から「サイバー安全保障について」を、そして7月には伊藤忠彦氏(セコムIS研究所デジタルプラットフォームディビジョンリーダー)から「量子コンピュータによる暗号解読の脅威と対応の概観」を御高話頂きました。
 また、6月には、横須賀において海上自衛隊の研修を行い、安全保障についての知識を深めたところです。
 幣会は、引き続き、安全保障関連組織との関係を強化、深化致します。また、AIによって新しい段階に入ったサイバー空間の環境に対応できる人材像を探求して参ります。

理事長 中谷和弘