一般社団法人
サイバー安全保障人材基盤協会
近年サイバー空間における課題は個人の犯罪から国家が関与する脅威へとその幅も深さも飛躍的に広がりつつあり、サイバー安全保障分野の対応能力の向上が急がれています。その中でも人材基盤強化は喫緊の課題です。
一般社団法人 「サイバー安全保障人材基盤協会」設立について
2022年12月に政府において決定された「国家安全保障戦略」では、サイバー安全保障分野の対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させるとしており、サイバー領域においては、諸外国や関係省庁・民間事業者との連携により、平素から有事までのあらゆる段階において、情報収集及び共有を図るとともに、我が国全体としてのサイバー安全保障分野での対応能力の強化を図ることが重要であり、政府全体において、サイバー安全保障分野の政策が一元的に総合調整されていくことを踏まえ、関係省庁(防衛省、自衛隊等)、重要インフラ事業者及び防衛産業との連携強化に資する取組を推進することとされています。
政府においてサイバーセキュリティに関わってきた我々OB有志は、このような認識の下、民間事業者・産業界が連携・協力して取り組む課題と推進する施策の方向性を明らかにするため、サイバーセキュリティ問題に詳しい有識者に検討を依頼、その提言を受けました。
提言を受け、特に「サイバー安全保障を円滑に強化するための人材育成」は喫緊の課題であり、新たな視点に立って、民間事業者・産業界が連携・協力していく核として、民間事業者が中心となった組織の設立が必要であるとの考えに至りました。
OB有志(共同提案者)
齋藤 隆 (元)統合幕僚長
鈴木茂樹 (元)総務事務次官
安藤久佳 (元)経済産業事務次官
島田和久 (元)防衛事務次官
中村 格 (前)警察庁長官
理事長挨拶
春風のさわやかさとともに桜花の咲く心躍る季節となりました。
皆様お健やかにお過ごしのことと拝察しております。
サイバー安全保障人材基盤協会も発足後4か月が経過いたしました。その間、オ
フィスの立ち上げ、内部規程の整理等もひと段落し、理事及び研究員による陸上自衛
隊通信学校との意見交換を実施したところです。また、3月31日には陸上自衛隊通
信学校から陸上自衛隊システム通信サイバー学校への組織改編式参列の誉を得て、国
防を担う精悍な隊員を拝見しつつ厳粛な式典に協会理事長として身が引き締まりまし
た。
協会を構成する会員につきましては、正会員、賛助会員ともに増えており、組織と
しての幹回りは確実に太くなりつつあります。正に2024年4月は実質的な活動開
始年度・月と捉えております。
サイバー空間に目を向けますとその脅威は国内外を問わず増大の一途と言えましょ
う。例えば、ロシアによるウクライナ侵略においては、ウクライナ、ロシアともに前
線にサイバーチームを展開し、双方のシステムにアクセスを試みる等の動きもあると
ころ、今後の展開について予想することは極めて困難と認識しております。また、国
内においては行政機関、学術研究機関等において情報窃取を企図したとみられる不正
アクセスや、ランサムウェアを用いることなくデータを窃取、金銭等を要求する外国
勢力によると思われるノーウェアランサム攻撃による被害が明らかになっておりま
す。このように有事・平時、官・民、国境を問わず、サイバー空間における脅威は引
き続き複雑化巧妙化していると言えます。
これらの脅威に対応すべく、防衛省自衛隊をはじめとする政府各機関、重要インフ
ラ事業者及び防衛産業などの我が国のサイバー安全保障に係る人材の需要を満たすた
めに、民間事業者、産業界が連携、協力し、速やかに対応能力の向上に努めることは
喫緊の課題と考えております。
当協会の発足が「画期的であった。」と評されるよう引き続き努力を重ねる所存で
す。
今後とも皆さまのご協力・ご叱正を宜しくお願い申し上げます。
理事長 林紘一郎