一般社団法人専務理事 河原淳平氏(元 警察庁サイバー警察局長)

近年、デジタル空間が国民の社会経済活動にとって不可欠のインフラとなる一方、インターネットバンキング不正送金やランサムウェア攻撃といった金銭目的のサイバー犯罪、地政学的緊張を背景とした国家支援型のサイバー攻撃、SNSを介した偽情報・誤情報の拡散等の脅威も増大している。
また、昨今は匿名流動型犯罪グループ(通称「トクリュウ」)がインターネット空間の技術やサービスを犯罪に悪用するなどの新たな課題も出現している。
これらに対応すべく、国直轄の法執行機関であるサイバー特別捜査部は、令和4(2022)年の発足以来、国際共同捜査への積極的参画等を通じて国内外のサイバー犯罪集団を摘発するなど一定の成果を上げているところである。その成果につながるものは、サイバー捜査のバックボーンとなっている「情報の集約と横断的・俯瞰的分析」、「機動的な国際連携」等である。
警察は、常日頃からサイバー脅威への対処態勢の強化に関し、様々な取組を行っている。