ドローンの進化とカウンタードローンの動向
〜 ジャミングが効かないドローンやレーダーで検知困難なドローンが出現 〜
2025年4月18日
実施演者澤田雅之氏
(澤田雅之技術士事務所(電気電子部門)所長
技術士協同組合理事
元警察大学校警察情報通信研究センター所長)
ドローンは、“無線による操り人形”のような存在です。つまり、飛行中のドローンは、GPS衛星等からの測位信号用電波を受信して自機の空間位置を把握していますし、操縦者の無線操縦装置(プロポ)からの操縦信号用電波を受信して操縦者の意図に従いますし、自機の飛行状態(空間位置、進行方向、速度、バッテリー残量など)についてのテレメトリデータをプロポ側に無線送信し続けていますし、FPV映像(ドローン搭載カメラが撮影したライブ映像)をプロポ側に無線送信し続けています。
そこで、このようなドローンを遠方からの攻撃手段として用いた場合には、FPV映像に基づく無線操縦による攻撃、もしくは、GPS等の衛星測位に基づく自律航行による攻撃が考えられるところです。
それゆえ、このようなドローン攻撃への対処方策(つまり、カウンタードローンの方策)としては、操縦信号用電波と衛星測位用電波をドローンが受信できないようにする妨害措置(つまり、ジャミング)が非常に有効です。このため、我が国におけるカウンタードローンは、対空レーダーやテレメトリデータの受信・解析により攻撃ドローンの飛来を検知して、ジャミングにより攻撃を阻止する方策が中心となっています。
ところが、ドローン技術の加速度的な進歩・発展に伴い、「AIの目」を備えて「無線に全く依らない自律航行」ができるドローンが出現し、我が国でも様々な分野での活用が進められています。問題は、無線に全く依らずに進攻してくるドローンにはジャミングが効かないことであり、「AIの目」で街中や森林の中を低空飛行で進攻してくるドローンには対空レーダーでの検知が難しいことです。
今回の講演では上記の事柄について分かりやすく解説し、またジャミングが効かないドローンやレーダーで検知困難なドローンへの対処方策の開発・実用化動向についても、分かりやすく解説しました。